ピーナたちがやってくる ケア!ケア!ケア! | グレースケアのとんち介護教室

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時代の先端にして崖っぷち、ケアのトレンドを脱力レビュー。

「私くるとみんな賑やかで大笑いよ、だから雇ってよテンチョーさん!」

 確かに彼女は明るかった。半年ほど前。初対面の採用面接だというのに、人懐っこく聞いてもいないことをお喋りしてくれる。

 フィリピンからきて日本人と結婚し、やがて別れて子どもと二人暮らし。仕事熱心なこと(「ヘルパーでは娘もいっしょに連れてって足ツボマッサージするの!」)、グループホームのこと(「映画『折り梅』見ました、ゼッタイいい!」)、教会の信心のこと(「エンジョコーサイ絶対ダメ!」)、身内のこと(「兄さんは渡米して銀行の支店長、でもオキャマなの!」)など語る語る。


 デイとヘルパーの経験があり、喋るのは何とかなりそうだが(勢いで)、書くのは苦手。ひらがなと簡単な漢字の読みはできる…と急に控えめに言っているが、怪しい(履歴書は娘が作成)。でもお客様の見守りやレクから始めて、徐々に記録も定型的なものから習熟していけばよいか? 人柄の良さで入居者には割りとウケそうなタイプ。やや心許ないところがまたちょうど良いツッコミどころになる(あるいはボケ加減、お互い様と許しあえる)。

スタッフ間でも最近人の出入りがなかったし、インターナショナルな職場になるとか、国際化の時代、英語を使って仕事なんてまるで外資とか、ポジティブにフォローができるようにもっていければ吉(余計な仕事が増えるだけ!と思わせると凶)。


 と頭をさんざん悩ませ受け入れを話し合い、1週間ほどのち採用を通知、「ありがとう、テンチョーさん!!」。で、書類を送るも一向に返ってこない。あれ…? さらに1週間後、電話をすると「ゴメンなさい、ワタシ近くのパン屋さんで働くことにシマシタ!」。んんんんんっ。書類が行き違っていたらしいが、ではまた機会があったら――。残念だった半面、正直少しホッとした気分も。やっぱり縁がなかったのだな。

 認知症の人は、本当にいろいろで、年齢も70代から100近くまで、真夜中に「美しき天然」を唄ってご機嫌だったり、顔をみるたび拍手を打たれたり、「お父さん」と呼ばれたと思うと息子の名前を繰り返されたり、手を握ってここに入れちゃダメ?と袂に導かれたり、もう世代も違うしカルチャーも違うし通常のコミュニケーションの枠組みや理解の仕方を超えている(入居者からみると、スタッフもかなり異星人のはず。残った食べ物は平気で捨てるし)。そういう人同士、どう共存するかがグループホームの究極の課題。


 で、外国人もやってきたら、シンプルに面白いと思う。病気に世代に国籍…多文化共生で生活はさらに豊かになるか?

確かに、スジとしては介護職の労働条件を上げ、長く安定して働ける職場環境にすれば、潜在的なケアワーカー(いわゆるペーパーヘルパーたち)が労働市場に出てきて、人不足もやがて解消するかもしれない。

 ただ、労働条件を上げる=介護報酬を上げる=保険料も上がるという社会的な合意がすぐに得られるとは思えない。介護職の地位向上よりは、フィリピンから介護士を受け入れる方が、少子高齢化(長くは続かない)社会を低コストで効率よく支えられる、というのがいまの世間の判断になる。


 願わくば、四大卒の高学歴で来日する彼女・彼らとともに、介護職の地位向上を図りたい…。日本語も英語も認知症の失語のヒアリングもできるトリプリンガルよ!!

 で、先日急に電話。「仕事ない? テンチョーさん!」。面接した彼女、もうパン屋さんを辞め、そのあとまたデイに勤めるも、いじめられてるとか。正直だ。縁は否応なくできそうだ。


フィリピン介護士の受け入れについて詳しくは

http://allabout.co.jp/career/careerwelfare/closeup/CU20060912A/ 

All About Japan (介護・福祉業界で働く)


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