今年も行ってきた、国際福祉機器展。東京ビックサイト、年に一度の福祉のお祭り。
トレンドの移り変わりが見えてくる。
まず、コムスン・ニチイが出展していない。
もともと福祉機器にあんまり関係ないのに、体操のプレゼンやマシンを並べ、でっかいバックを来場者にもたせて華々しくアッピールしていた両社。もうそんな意地も元気もない。(コムスンはじきに会社もない)。
代わりに華々しいのはいわゆる全自動モノ。排尿吸い取り機、パラマウントも巨大看板を掲げ、ベット系のほか、ライフリーなど紙オムツ系企業も参入。昨年フロントラインに出てきてビックリの全自動排泄処理機など、今年はブースの屋根に大風船もついた。紳士用尿袋もコマが4倍増、担当の外国人も日本語がペラペラになっている。
自動でご飯を食べさせる精巧なマジックハンドも数社。ベッドから自動で起こして、そのままイスにも車イスにもなる(でかい)って奴もバリエーション増。
新しいところでは、自動でお布団をかけたり除けたりするのが2社。1つは同時に背もたれも上下するから、起きるとお布団(ピンクの花柄)が屋根みたいになっちゃって、まるでアラブの金持ちの寝床。アラビアンナイトメアだわ…。
どのメーカーもお題目として掲げているのが、「尊厳を守り自立を支援する」。
確かに、疲労困憊、余裕のない息子やヨメに、まったく臭いウンコだよ!とか小言を言われお尻をピシピシ叩かれながらオムツ交換されるよりは、機械がゴトゴトピュィーンと吸い取ってくれた方が、よっぽどいいかも知れない。「常時オムツの中には微風が吹いていて快適」らしいし。
でも、何となくイヤなのは、寝かせきりになって処理機をつけた自分が、ただただ、うんこしっこをするだけの、機械のような、存在に成り下がる気がすることだ。
タンクが汚物でたまったら指定の携帯に教えてくれる技術。人の関わりは最低限まで切り詰められる。
すすめられるのは自立支援というより、孤立支援。
介護の社会化がいきづまり、家族も頼れないとなると、結局、介護の機械化が勢いが増す。
双方向のコミュニケーションで得られるつながり、楽しさや自尊感情、安心感や癒しといったもの。他者との関わりが、尊厳をもって(と気負わなくてもフツーに)生きていく上では必須。
と思いつつ会場をまわっていると、大丈夫。ちゃ~んと癒し系のネコちゃんもご用意。
なでると鳴くし、抱っこして身じろぎもかわいい。気ままに寝ちゃうの。
かかわりも任せて欲しいニャん…。ロボットだけど。
介護職が、自らの手でケアをする、やっぱりそれが一番、というなら大丈夫。
ちゃんと用意してあります、マッスルスーツ。
ターミネーターの筋骨っぽい機械を、介護職が身に着け、もうサイボーグになっちゃうという寸法。
理科大のチームに聞くと、これ、操作は身に着けた本人ではなく、もう1人がリモコンで動かすのだそうだ。
「行け鉄人28号、認知症のトクさんのオムツ交換!」
ハイ分カリマシタ…
「危ない! 足で蹴ってくるのをよけろ!」
ウウ…ムリダヨ、正太郎クン、本人コワガッテルヨ…
「左アームで両腕を押さえ、右アームでズボン下ろす!」
無茶ダワ、、、、、、、デキタケド本人タオレテルシ
「よし、敵をやっつけたぞ!!!!」
トホホ。ツヅク。