「あけましておめでとうございます!」
「…………」
「あけましておめでとうございます! 新年ですよ、元旦、1月1日でーすっ。
あけまして、おめでとうございます! お・め・で・と・う」
「…………」
「あけまして、おめでとう! おめでとうございます。お・め・で・と・う!」
「……、何?」
「おめでとう、ございますっ」
「……、ありがとう」
ううううううー。
つう挨拶から始まった今年のお仕事。
とにかく正月のホームは気楽だ。
昨年の正月とだいたい同じ。
↓↓正月勤務の醍醐味↓↓
http://ameblo.jp/yari123/entry-10007673500.html
天気がよかったので、近所の八幡さまの初詣も、珍しく行列。
スロープで脇から入るも、宮の前までは入り込めず、不老長寿を願うも斜に構えた体でちょうどよいかも。みんなすでに長寿なので。
三々五々、でも去年よりも車イスが増えている。スタッフ数も限られるから、来年はもっと何往復か必要そう。独歩の人も帰りは結構ふらふらだったり。行きはよいよい、帰りは恐い。転倒。
今年のホームの新趣向は獅子舞。地元で細々とやっているのを探し出して声をかけた。
正月らしく、ひと踊りしていただき景気をつけたい。
悩ましいのはお祝儀。どれだけ出せばいいのか?
おひねりか祝儀袋か?
入居者に相談すると、あ~昔はよくきたよ、三河万歳…、とかなんとか。
結局、どっちも用意。小銭を用意して、みんなでひねっているうちに、獅子舞が賑やかに乗り込んできた!
早い、用意ができていない、しかも、この獅子舞、2匹とも、かなり本気だ! 派手に動き回る、ホームなんて狭い家ん中みたいなものだから、かなり迫力がある! おっきい。これは踊っているのか、脅かしているのか、う~ん、生の獅子舞っていうのは、なかなか激しい。ひねった小銭、一人一人から口に入れてもらおうと思ったのに、驚いた一人が慌てていくつもまとめて放り込む。あぁ、それでも許してくれない!
そして、また別の入居者は、急に体を震わせて泣き叫び出した! あ~ごめんなさい、恐かった恐かった…。 慌ててお部屋へ誘導。布団をかぶって超不穏、怒っている。あ~、驚かせてごめんなさい…。
手拍子うって、喜ばれる人もいるのだけど、結構びっくりして、呆気にとられる感じ。
初めてみた!と興奮しているのは96歳のジイさん。入れ歯と痰が飛び出しそう。いや、この歳になっても初体験があるっていうのは素敵だと思う。
普段はマメな働きもののカナメさん(仮名・86歳)、お金のこだわりが始まるととめどないのだけど、今日も、小銭を触ったし、しかもバタバタっとしたから、イヤな予感はしたのだが、案の定、夕方も、夜も、夜中も、「私、300円、ついね、獅子舞に出しちゃったけど、あれ、いやいいんですよ、お金のことで汚く言いたくないですから、でもね、つい私、がま口から出しちゃったんです。人に言われて、早く出せっていうから。えーっと3,000円ね…」、明け方も…。
ホームで祝儀用のお札や小銭は用意したのだけど、自分で払ったと思い込まれている。いや、獅子舞すごかったですねぇ!と話題を変えるも、当然、通用しない。たいていは、カナメさんの言い分をうなずいて聞けるのだけど、お金に関してはなかなか難しい。
で、お金心配なら、数えてみましょうか?(と本人もっているお金)というも、「いやいやそんなことは…、そこまでしなくていいです、縁起物だから、そんなにたいした金額じゃないし、ま、3,000円出しましたけど…」と納得されていない。
話を聞きつつ、なんかしているうちに気が紛れたり、近くで叫びだす方がいて、そっちの世話に走ってくれたり(こだわりには、別のこだわりで制す。もっと大変)。
やっぱり悩ましい。
あと無粋を承知で、獅子舞に、祝儀の領収証をもらう。怒られて大きな口で噛み付かれたらどうしよう、とか、逆に愛想良く口にペンを加えてさらさら首を振って書かれてもイヤだなと思ったが、普通に太鼓の係りの人が太鼓の上で書いてくれる。
で、獅子舞からも年始がわりの包みをいただく。
中身はタオルとか手ぬぐい、かな?と思ってみたら…
大小の祝儀袋セットが入っていました。
来年は、これを使って、お獅子にたくさん食べさせて下さい、小銭やティッシュではお腹をこわして暴れます宣言?
これもまた、悩ましい。
景気よく悩みが積まれた、初春でした。
1年つかって考えよう…。