実は介護現場のファンタジー、ポニョ | グレースケアのとんち介護教室

グレースケアのとんち介護教室

時代の先端にして崖っぷち、ケアのトレンドを脱力レビュー。

崖の上のポニョ。


5歳の娘が、観たいみたいとうるさいので、3年生のお兄ちゃんも連れていっしょに観てきた。(※ネタバレ注意!)


知らなかったのだけど、これって海岸にあるデイサービスのお話なのね。

それも保育所併設、泊まりにも対応という、いま風のデイ。(小規模多機能か?)


で介護スタッフ、リサさんの活躍は、助演女優賞もの。


暴風雨と高波に、泊まりの利用者を心配し、5歳の息子(宗介)を家に残して夜中に車で向かったり。

宗介がポニョに見染められたばかりに、海の女神さまとも談笑し、ポニョを譲り受けてしまったり。


ポニョを「気味の悪い人面魚」呼ばわりするデイの利用者トキさんもいい。

嫌われ系のキャラながら、水没するデイに同行せず、宗介を助ける役どころ。


全編ファンタジーの世界…。


なによりポニョは、嵐を呼ぶ女の子。すっごい一途で身勝手な元気にあふれていて面白かった。幾重にも巨大に重なる波頭をタッタカタッタカ走り回り、家の中でもムダにぴょんぴょん走り回り…。


それでいて、ごはん食べながら、ポンポン船に乗りながら、気づくとウトウト眠っている。うっかり半魚人に戻りかけたり。魔法が切れるということなのだろうけど、屈託ないカンジでいい。


ちょっと残念だったのは、デイの利用者、全員、車イスに乗せられっぱなし


ここでも人材不足で余裕がないのかもしれないが、フツーの椅子に移乗して欲しいし、せめて、ステップを下ろして足を床につけたいところ。ファンタジーなんだし。


自走するならまだしも、と思ったが、スティックで操作する電動車イスが一人、両輪を腕で回して移動していた方が一人。あとはみな介助だ。


せっかく、介護スタッフはリサさんのように、ハツラツとした好イメージで描いてくれているのに、お年寄りがまたこんなイメージでは…。じいさんも全然いないし。


ただ、その後魔法でみんな歩いたり走ったりできるようになる。そのための車イスの強調という訳だが、下肢マヒや筋力低下が解消して、元気になるって、嬉しいんだろうけど、何だか、せっかくの魔法なのに、そんな身体の元気バンザ~イ!みたいなところで終わってしまうのはちょっと惜しい。介護予防か。



ポニョの父が夢見るのは、4億年前の地球。魚類がさかえたデボン紀。両生類が生まれ、生物が海から陸に上がり始めたころ。“生命”のスケールは大きい。



先月、3年生の息子が行きたいとうるさいので、5歳の娘も連れていっしょに出かけた上野の科学博物館。


お目当ては恐竜なのだが、38億年前に海の中の”泡”から生命が生まれ、長い長い時間をかけて進化をとげながら、やがて5、600万年前(ごく最近)、サルからヒトが分かれて広がるまで、ものすごい壮大な展示があった。


どの生物も、細菌も植物も昆虫も動物も人間も、みんな共通する遺伝子をもっているとか。

生命の底知れぬ神秘、まさに全類みな兄弟。でっかい昆布の標本とか怖くて泣いてた娘も姉妹。


ポニョは、海なる母から生まれ、魚から半魚人(両生類)を経て、ひとの子(哺乳類)まで、一気に進化する生命そのもの。海を汚す人類に大洪水と落っこちそうな月で警告しつつ、それでもヒトが地球に生まれてきてよかった。


ポニョは宗介と気持ち通わせてくっつけたし、赤ちゃんもお年寄りもおんなじ生命で肯定される。そんなヒトのよさのファンタジーが見え隠れ。


終映後、ムスメは大満足、「ぶぉ~って息するところが面白かった~! ぶぉ~ぶぉ~っ!」「ポニョはね、ハムが好きなんだよ~!」と、タッタカタッタカ劇場の階段を駆け降りていく。


あ~ほんとに屈託のない、まんまるおなかの女の子。

魔法よ切れないで。(泣)



★NPO法人グレースケア機構のホームページ、開設しました★

 http://g-care.org/

 ※鋭意充実中です、またみてね~!