それは、ほんとうの自分…。
ある日突然…家族が認知症になった…密着365日! 若年性アルツハイマーと闘う
7日のTBS夜9時から、若年性認知症の方のドキュメント。
4組のご夫婦が登場されていて、2組は妻が、2組は夫がアルツハイマー病を患う。
いずれも状況はとても切実。だけど、怒りや腹立ちやいらいらと、あきらめと開き直りとユーモアとが合わさった素敵なご家族だった。
元公務員の足立さん、講演後の旅先で混乱。ここで奥様がえらいのは、きちんとキレているところ。
怒って先に行きながら、立ち止まって「早く歩いて!」と叱る。そして引っ張るようにして歩いていく。
認知症で記憶に障がいがあっても、感情は残る。本人なりの理由があるのだから、それをいっしょに探すように努め、叱ってはいけない。気を紛らわしたりして、ねばり強く寄り添う。
というのが、認知症ケアの基本で、奥様も十分それは理解されており、そうめんをサラダにつけて食べていても気にしないし、仕事をしたい夫の希望を汲んで働き場所を探しに奔走したりする。
だけど、それがいつもいつもできるわけではないのが、認知症の人とつきあうときの難しいところ。
半ば、いらだってどうしようもない自分と、どうつきあうのかっていう問題になったりする。
亭主関白の夫、ついてこいタイプだったのに、結婚後5年で発症して、逆に引っ張らなければいけなくなっていること。
大分から、せっかく奈良まで来ているのに、夫の混乱で飛鳥めぐりを二人で楽しめないこと。
職業的にだったら、きっとうまく夫の不安や思い込みを受け容れたり、受け流したりできる。
でも家族の人間関係のなかだと、難しい。頭ではわかっていても。
怒っている方が、あきらめているよりも、まだ相手の人格を尊重していると言えるのかもしれない。
加藤さんご夫妻も湯河原に行き、やはり、奥様が温泉にも入らず、すぐ家に帰りたいと混乱される。
こういう場面は、認知症の方とつきあっていると、本当によくある。起こらない方が少ないくらい。
それで、ご家族だけだと疲労困憊、疲れてしまってせっかくの旅行も楽しめず、一度あると懲りてますます遠出を避けるようになる。
どうせ本人はわからないしみたいになって…。
そんな気持ちも、よくわかる。
でも、やっぱりそれは残念だし、違うんじゃないかな…と思う。
つづく。