介護職の医療的ケア | グレースケアのとんち介護教室

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時代の先端にして崖っぷち、ケアのトレンドを脱力レビュー。

13日、武蔵野赤十字病院、山崎記念講堂でお話しました。

杏林と日赤で隔月で行われている「緩和ケアカンファレンス」の一環。

「医療的ケア」は痰の吸引、経管栄養など法的には医療行為として医師・看護師以外には認められないものの、実態としては介護職が担ってきているケアのこと。

08年の全国調査では、特養の夜間帯28.3%の施設で吸引を行っているが、看護師を配置しているのは2.6%のみ。1/4の施設では介護職が行ってきたということ。


「違法性の阻却」としてやむなく容認されてきた経緯や、来年度の法改正、研修と実施の要件など。

事例として、吸引と胃ろうの方で、ショートステイが見つからず、運よく見つかっても行くと機能が低下するために、家族が代わりに外泊して、グレースケアで夜間泊まりでケアを行っている方を紹介。


新しい法制度では、都道府県に登録した事業者に限り、

・認定特定行為従事者(2012年~)

・介護福祉士(2015年~)

が医療行為を行うことができるようになる。


夜の7時半からの集まりにも関わらず、

三鷹武蔵野地域の病院や訪問診療を行う医師、看護師、薬剤師、ケアマネ、ヘルパーなどがざっと100人。講堂いっぱいでした。

(他に、終末期の訪問リハビリ、在宅での胃ろう患者の状況などの報告ありました)


まとめの課題としては、

1.実態とまだ離れた曖昧な領域が残る
 ・褥創の手当てと湿布や軟膏塗布、清拭ケア
 ・摘便
 ・血糖値の測定、インシュリン注射など本人行為の介助
 ・専門職による院内の付添い

2.医療・看護との連携、研修体制の整備
 ・介護職が医療的ケアを行うことに対する医療職の温度差
 ・指導や連絡相談など、連携体制への消極性
 ・介護職自身のためらい、報酬の裏付けの乏しさ
 ・担い手の養成機関、実習先の不足

3.生活を支援する介護の専門性の確保
 ・医師の指示の下に入るのは初めて
 ・下働きではなく、医療を一部として生活全体を考える役割
 ・胃ろうに対して、口から再び食べる、または胃ろうにしない
 ・吸引の前に、座位をとり口腔湿らすなど自力喀痰の促し など
 ・愉しみや生きがい、家族のケアなどで'痛み’を緩和する

などが挙げられます。

参加者からは、訪問看護師さんがALS患者さんのケアで介護職に研修を行い協力している話や、ケアマネから、訪問看護を入れながら医療的ケアに取り組んでいる話などが出されました。

また、医師から、ありうべき連携体制についての質問ほか、家に本人の残った家族のレスパイトについて具体的な体制など聞かれました。

「緩和ケアカンファレンス」が地域で研修や医師・看護師・介護職の連携をつくる役割を果たしたらどうかとい提案も。

ほかのテーマも合わせて議論は夜10時近くまで。


ちょっと医療ニーズがあるだけで、施設利用が拒まれたり、病院しか行き場がなかったり、しかもすぐに退院を迫られたり。生活全部が一気に失われがちなのは、おかしい。

なんとか在宅で、痛みは緩和されながら、ある面気ままで少しでも愉しく誇りある暮らしを継続できるよう。

医療的ケアのスキル向上と体制づくりを急ぎたいと思います。

参加ご意見頂いた先生方みなさまありがとうございました。

$グレースケアのとんち介護教室


新しい制度について詳しくは、厚労省資料

事前にNPOさくら会、川口有美子さんにもお話伺い、感謝です!


逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズケアをひらく)/川口 有美子