認知症ケア学会で自費サービス報告 | グレースケアのとんち介護教室

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時代の先端にして崖っぷち、ケアのトレンドを脱力レビュー。

今週末は横浜で認知症ケア学会

ぶ厚い抄録集が送られてきた。


「認知症の人に対する24時間巡回サービス」

「地域における夜間介護の現状」

「摂食・嚥下への支援」「口から食べると元気になる!」

「認知症の終末期における胃ろう栄養法」

「疾患別に診たBPSDの特徴とケア」

「新しい抗認知症薬」

などなどの講演やシンポジウムに、口頭発表が65、ポスター発表は32分科会で計248!


「地域包括ケア」のシンポでは、「エイジング・イン・プレイス」の松岡洋子さんも登場。


今年のテーマは「認知症の人の生活の質を高める」。


今まで「学会」というと、人物や人の生活が吹っ飛んで、妙にきれいな、仮説―実証、こんなにうまくいきました~という結論ありきの型におさめてしまうところに、違和感があったものの、今回はこのテーマ、本気で取り組む自負のもと、がんばって我慢して、自費で長時間の付添いをしているグレースケアの取り組みをまとめて、何とかポスター発表にこぎつけた。


タイトルは

「保険外の在宅サポート事業、長時間見守り・付添いケアとQOLの実現」


内容は下記のとおりです。
いちばん関わっているスタッフ白澤が発表します。

ポスター発表F、25日(日)第3エリア・G会場にて13:30ころ~
(抄録集320ページ)

学会に参加される方はぜひご注目を!

当日参加は1万円(会員・非会員とも)。

お値段に見合った学会なのかもぜひご注目を!


「保険外の在宅サポート事業、長時間見守り・付添いケアとQOLの実現」

【目的】 認知症の人の生活の質を本当に高めるためには、居住の場として住み慣れた自宅に勝るものはない。近隣の生活環境や馴染みの人間関係をできるだけそのまま継続させ、認知症の人のQOLを維持向上させるためにはどのような取り組みがありうるのか。保険外で全額自費の在宅サービス事業を通じ、その可能性について検討する。併せて、正当に評価されにくい長時間の「見守り」や「付添い」のケアについてそれらの専門性を明らかにする。

【方法】 週3日~5日、朝から日中、夕方にかけて1対1でT氏を見守り、随時付添う。ライフパターンをつかみながら、同行あるいは尾行、生活支援、一部介助など担いつつ、毎回の状況とT氏の様子の記録により、QOLの維持向上につながっているか具体的に検証する。

【結果】 21年7月から23年4月まで1年9ヶ月の間の支援の継続により、主に「見守り」や「付添い」をさりげなくかつ丁寧に、専門的に提供することにより、①妻の入所先への見舞いなど従来のライフスタイルの維持、②行方不明や転倒リスクの軽減、③新たな関心の引出しや活動への参加、④日常生活全般におけるきめ細かい自立、といった成果を上げることができた。

【考察】 以上のことから、認知症の方のQOLを上げるためには、在宅での生活を維持しながら保険外の自主事業で提供する1対1の長時間ケアが有効であり、認知症ケアにおいては、「付添い」「見守り」の内容と専門性を充分に評価していく必要があると考えられる。