共同生活、放送しちゃいます! | グレースケアのとんち介護教室

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時代の先端にして崖っぷち、ケアのトレンドを脱力レビュー。

欧米で人気というリアリティー番組


特別な環境や条件におかれた数名の人たちの様子を映し、ゲームや視聴者の投票で脱落、勝ち残り者に賞金が出るというシロモノ。


無人島での生き残りでは日本版も作られた『サバイバー』。崖からのとびこみ、みな恐がってイケず、リアルってつまんないなと思わせた。


本場では、妻同士を入れ替えて他人の家族内で12日間過ごすものだとか、上司が入れ替わるもの、ダイエットで減量を競うもの、富豪の課題に応え出資を得るもの、セレブや新婚家庭に入り込むもの等々、いろいろなバリエーションがある由。


19日の朝日夕刊によると、隔離された住居で共同生活を送る様子を撮った、『セレブリティ・ビッグブラザー』のなかで、インド人女優に対し白人女性が「まともな英語も喋れない」「スラムに帰れ」などと偏見丸出しで罵り、それが英印両政府を巻き込んだ騒動になっているとか。


CNNの報道 http://www.cnn.co.jp/world/CNN200701180004.html


人種差別との批判に対して、テレビ局は「社会的・文化的衝突」、白人女性の代理人は「ストレスの強い環境下での個性のぶつかり合い」と反論、要は、放送コードを飛び出して差別を含むリアリティまで映しとられたということだろう。


似たような番組で思い出すのは、『ザ・ガマン』。

六大学対抗で、ゴキブリの袋とか、逆さハリツケ、おしっこガマンとか競い、決勝戦はたいてい、絶食で勝負。脱落した人が、豪華なディナーを目の前で食べ始める、それを実況する三遊亭夢之介。欲望との葛藤を目の当たりにさせられ、人間の正体を浮き彫りにする切なくもシビアで、そしてくっだらない番組だった。


もちろん、毎回欠かさずみた。

(ガマンしすぎで火傷を負う事故があり打ち切り)


認知症ケアの切り札!とひところもてはやされたグループホームも、正式な名称は「認知症対応型共同生活介護」。

施設の集団処遇に比べれば、確かに個別ケアはゆきとどくも、「共同生活」の不自然さは否めない。まして、個性の煮詰まった80歳、90歳を越えた認知症老人、いきなりの共同生活…。


今日もご飯前、「こらっ!手を出さない!まだ食べちゃダメだ!」と叫ぶおじいさん、一方で、目の前にある美味しそうなものには、素直に手を伸ばすおばあさん、


あるいは、ペーパーやら湯のみやら台ふきやらスプーンやら、持ち帰ってタンスにためこむおばあさん、それをいちいち見咎めて、大声で責めるおばあさん、


足が弱くて動けずウトウトしているおばあさんの周りで、イソイソ掃除なんかしながらまったく信じられないよこの図々しさと嫌味を並べるおばあさん、、、


それぞれの思いを汲んで、仲介したりスカしたり気をそらせたり巻き込んだり。立ち回りがヘタだと、いっしょになって、責められたりして。「あんたもちゃんとしなさいよ!ボサボサ突っ立ってないで!」


ううう。

ガマン。


どんなキャラクターでサバイバルを図るのか、スタッフ間でも、自分の持ち味の出し方が工夫のしどころ。視聴者がいたなら、ゼッタイ一番はじめに落とされるよなっつうキャラほど、けっこう強い。応援したい人が、リタイアして退職したり…。


とまれサバイバルは、やはり年の功、関東大震災も戦地や空襲も生き抜いてきた入居者に、職員はかなわない。ふりまわされて、ガマンして、そしていつか、やっぱり亡くなるときがくる。


それってでも、共同生活の場からは立ち退くけど、ご本人負けたというより、勝ち抜けですよね。


最後に勝ったら、実生活で負けっぱなしだった人でも、まぁいい人生だったといってひっくり返せるのではないか。


そんな介護職のささやかな自負のために、差別も抑圧もない共同生活を!

放送されても大丈夫!

タイトルはやっぱり『ザ・ガマン』!

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